事例紹介

【子どもの安全を支える人材育成の取組み ― 公益財団法人さっぽろ青少年女性活動協会様】

「子どもの体験活動の安全」を支える人材育成に力を入れています。
今回は、いなづみ児童会館館長であり、「子どもの事故予防基礎(ASL資格認定)講座」の講師としても活躍されている栗田様にお話を伺いました。 


団体紹介 —

(公財)さっぽろ青少年女性活動協会は、青少年の健全育成と青少年女性の社会参加を促進し、魅力ある地域社会づくりに貢献することを目的に活動されています。札幌市の指定管理者として199館の児童会館を運営し、0歳から18歳までの幅広い世代を対象に、乳幼児・保護者・小学生・中高生が安心して集える場を提供しています。

札幌市の児童会館は、小学校に併設されたミニ児童会館を含めて199館あり、児童が徒歩で通える距離に設置されています。地域全体を網羅するこの仕組みは全国的にも珍しく、先進的なモデルとして高く評価されています。 

日々の運営では「すべての子どもを笑顔に」「地域と子どものつなぎ手に」を合言葉に、職員全員が児童健全育成の専門家としてスキル向上に努めています。 

子どもの安全への取り組み

「楽しい活動はまず安全な環境づくりから」という理念のもと、職員全員が毎日、館内外の危険箇所を自らの目と感覚で確認しています。活動中は「環境要因」「参加者要因」「指導者要因」の3つの視点からリスクを分析し、必要に応じて改善を重ねています。

安全を重視するあまり体験の機会を奪ってしまわないよう、「何が危険で何が学びか」を明確に判断し、活動のねらいに沿ったプログラム構築と徹底したリスク管理を行っています。また、それを一人で抱え込むのではなく、チーム全体で共有し、協働して実践することを大切にしています。 

 講師養成講座を受講したきっかけ(栗田館長)

子どもに関わる専門職として、安全管理と応急処置の知識を体系的に学びたいと感じ、体験活動セイフティリーダー(ASL)インストラクター養成講座を受講されました。資格を取得することで、保護者への信頼性の向上や職員自身の安全意識の強化にもつながっています。 

札幌市の児童会館職員は数百名に上りますが、有資格者はまだ少数です。栗田様は「自ら講師となって有資格者を増やし、安全管理の底上げを図りたい」との思いから受講を決意されました。 

インストラクター養成講座の印象と変化

「現場に即した内容で、日常の行動と結びつく学びが多く、理解が深まりました」とのこと。受講を通じて、インストラクターとしての責任感と使命感が芽生え、学んだ知識を現場の仲間に早く伝えたいという気持ちが強くなったそうです。

職場の研修実施とその成果

これまでに札幌市児童会館の職員・館長・主任スタッフなど約60名を対象に、「子どもの事故予防基礎(ASL資格認定)講座」を午前2日間の形式で5回実施しました。座学とグループワーク、相互トレーニングを組み合わせた実践型の研修を行っており、参加者からは「リスクとヒヤリハットの違いが明確になった」「活動に潜む危険に気付けた」といった声が多く寄せられています。 

講座で学んだリスクマネジメントの基本手順を踏まえながら、職員一人ひとりが日々の業務に活かし、組織全体の安全意識の底上げにつながっています。 

今後の展望

今後は、ASL有資格者をさらに増やし、継続的に質の高い体験活動を提供できる組織体制の確立を目指されています。また、後進のインストラクターを育成し、活動が世代を超えて続いていく仕組みづくりにも取り組まれています。 

今子どもの安全を支える人を育てる研修 – 札幌から全国へ

本講座を通して、「安全」と「体験の質」を両立する取組みが現場レベルで広がっていることを大変嬉しく思います。(公財)さっぽろ青少年女性活動協会様のように、職員が自ら学び、講師として仲間を育てていく取組みは、児童館運営における“安全文化の内製化”という点でも非常に先進的です。

本講座を通して、「安全」と「体験の質」を両立する取組みが現場レベルで広がっていることを大変嬉しく思います。(公財)さっぽろ青少年女性活動協会様のように、職員が自ら学び、講師として仲間を育てていく取組みは、児童館運営における“安全文化の内製化”という点でも非常に先進的です。